タンパク質のゲル電気泳動による分析法の一つで,もともとLaemmliによって1970年にT4ファージのタンパク質を分析する手法として導入されたものであるが,現在,タンパク質の分析法として最もポピュラーになっている.アクリルアミドモノマーを重合させてできる親水性高分子ポリアクリルアミドを担体とし,試料をSDSとともに泳動することにより,タンパク質をその分子量に従って分離することができる.通常,実際の分離を行う分離ゲルの上に,濃縮ゲルと呼ばれる低濃度のゲルを重ねて重合させて用いる.それぞれのゲルには異なる濃度とpHのトリス塩酸緩衝液を用い,また泳動緩衝液にはトリス・グリシン緩衝液を用いることにより,試料タンパク質を濃縮ゲルと分離ゲルの間の狭い範囲内に一度濃縮したうえで分離することができ,この技法のおかげで,高い分離能が得られる.また,アクリルアミドゲルの濃度を変えることにより,分画分子量範囲をある程度選ぶことができる.緩衝液系としてトリス・トリシンを用いると,低分子量領域がよく分離するとされる.なお,塩基性の強いタンパク質や疎水性タンパク質の移動度は,必ずしも標準タンパク質に基づいてつくられた分子量較正曲線には当てはまらないので,注意が必要である. SDS-PAGEと略される.