紅色植物門チノリモ綱に属する藻類の一種(Porphyridium purpureum = P. cruentum),またはその属(Porphyridium)のこと.単細胞球形,直径5–15 µm,粘液質に富む厚い細胞外被で覆われる.葉緑体は1個,中軸性で星状,周縁チラコイドを欠き,チラコイドが陥入した埋没型ピレノイドが中央にに存在する.滑走運動能をもち,青色光に対する光走性を示す(約1 µm s-1).P. purpureumの葉緑体は赤色を呈し(血糊藻の名の由来),クロロフィルa,フィコビリタンパク質(アロフィコシアニン,R-フィコシアニン,B-フィコエリスリン),ゼアキサンチン,β-カロテンをもつ.属内でフィコビリン組成に多様性が見られ,P. sordidumはC-フィコシアニンとB-フィコエリスリンをもちオリーブグリーンを呈し,P. aerugineumはC-フィコシアニンをもつがフィコエリスリンを欠くため青緑色を呈する.P. purpureumにおいて核ゲノム,葉緑体DNA塩基配列が報告されている.湿土上や淡水〜海水に生育するが,同属内には有孔虫の共生藻となるものが知られている.
生理,生化学的実験に比較的よく用いられてきた.DuysensはP. purpureumを用いて,シトクロムfの光照射による酸化・還元反応を調べ,光化学系Ⅱと光化学系Ⅰの間を電子伝達系が直列に接続していることを実験的に示した.