EC 1.11.1.9.還元型グルタチオン(GSH)を電子供与体として,H2O2および脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)の還元を触媒して酸化型グルタチオン(GSSG)を生成する.動物ではセレノシステイン残基を活性中心とする.
2GSH + H2O2(LOOH) → GSSG + 2H2O(LOH)
従来,動物細胞にのみ存在すると考えられていたが,最近,種々の植物および藻類に本酵素と相同な遺伝子が見いだされた.光合成生物のグルタチオンペルオキシダーゼは, (1)活性中心はセレノシステイン残基ではなくシステイン残基である, (2)H2O2を還元せずリン脂質ヒドロペルオキシドや不飽和脂肪酸のヒドロペルオキシドを還元する, (3)単量体である, (4)酵素活性は動物由来のグルタチオンペルオキシダーゼと比べてきわめて低い,などの特徴をもっている.しかし,これらの分子特性は生物種によって若干異なり,生理的意義もまだ不明なものがほとんどである.