グルタミン合成酵素[glutamine synthetase]

 EC 6.3.1.2.グルタミン酸+NH3+ATP→グルタミン+ADP+Piの反応を触媒する酵素で,GSと略される.慣用名はグルタミン酸-アンモニアリガーゼ.グルタミン酸合成酵素(GOGAT)とともにGS/GOGAT回路を構成する.タンパク質の一次構造上の特徴に基づき,Ⅰ型,Ⅱ型,Ⅲ型に分類されるが,三者は同じ祖先遺伝子から分岐進化したものであると考えられている.基本的には原核生物はⅠ型を,真核生物はⅡ型をもつが,ある種の土壌細菌(Frankia科, Rhizobium科, Streptomyces科)のなかには両方を併せもつものもある.窒素固定をしないシアノバクテリア(藍藻)にはⅠ型酵素(GlnA)のほかにⅢI型酵素(GlnN)をもつものもある.Ⅲ型のGSは通常の生育では全GS活性の3%程度しか占めないが,窒素欠乏状態では20%を占める.Ⅰ型のGSは分子量約5万のサブユニットから成る12量体酵素.大腸菌などのグラム陰性菌では各サブユニットのカルボキシル末端領域のチロシン残基の可逆的なアデニリル化により翻訳後の活性調節が行なわれているが,シアノバクテリアのGlnAではそのような調節は行われていない.その一方で,シアノバクテリアにおいては培地中のアンモニアの有無に応答したGifA, GifBと呼ばれる阻害ポリペプチドの結合により活性調節が行われている.Ⅱ型は分子量約4万のサブユニットから成る十量体酵素. Ⅲ型は分子量約8万のサブユニットから成る六量体酵素.いずれの型のGSもコファクターとしてMg2+,Mn2+などの2価金属イオンを要求し,L-メチオニンスルフォキシミン,ホスフィノスリシン(グルホシネート)により阻害を受ける.
 高等植物のGS(Ⅱ型)には細胞質局在型(GS1)とプラスチド局在型(GS2)が存在する. GS2は核にコードされ,前駆体として合成されたのち,プラスチド内に輸送されて成熟型となる.基質に対するKm値はトウモロコシGS1の場合, NH4+ : 50 μM,グルタミン酸:3 mM程度である.ATPは正の,ADP, AMPは負のアロステリックエフェクターとして働く.同化的硝酸還元由来のアンモニア,光呼吸由来のアンモニアはGS2により同化される. GS2遺伝子は光や硝酸イオンにより転写レベルで誘導を受けるが,光誘導はフィトクロム制御下にあり,硝酸誘導は硝酸レダクターゼ遺伝子などと同様の制御機構下にある. GS1はほとんどの植物で多重遺伝子族を構成している.それらGS1遺伝子は発現部位,発現時期,そして外環境に対する応答様式などに違いがあり,各々が機能分化している.そのなかには葉の老化や根粒形成過程,アンモニア投与により誘導されるものや,ソース器官からシンク器官への窒素転流に関わるものなどが知られている. GS1は暗条件下でリン酸化され,14-3-3タンパク質が結合することで,タンパク質分解から保護されるとともに,活性も上昇する. GS1はこの他にも酸化修飾を受けることで,タンパク質分解に感受性が増し,ターンオーバー速度が速くなることが知られている.


Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:29:12 (1721d)

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