サンフレック(陽斑)[sunfleck]

 林床などの植物群落内のように林冠や高茎草本によって被陰された場所に,ときおり到達する直射光をさす.陽斑ともいい,いわゆる木漏れ日のことである.サンフレックの大きさ,位置,持続時間,タイミングなどは,光源である太陽との間に存在する雲や植被の枝葉の位置や空隙(ギャップ)の大きさと位置,風の強さによって決まる.サンフレックの大きさは直径1cm程度のものから数十cmが一般的であるが,大きな林冠ギャップ下では数mに及ぶ.また,持続時間は1秒から数分までが一般的だが,大きな林冠ギャップの下では数時間に及ぶ.
 サンフレックは,林床植物のように普段は暗い光環境の下で生育する植物が高い光合成速度を実現できる機会をもたらす.サンフレックを受け始めてから光合成活性がその光量子束密度の下での最大活性に至るまでには数分の時間がかかる(→光合成の誘導期).一般に,弱光下での気孔コンダクタンスが高い葉ほど最大活性に到達する時間が短い.また,サンフレックが過ぎてから数秒~数分は光合成活性が高い状態が続くことがある(→光照射後暗期二酸化炭素固定).サンフレックが真昼前後の数時間にわたるような場合には,林床植物の葉に光阻害が生じることもある.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:39