シアン酸[cyanate]

  分子量43.0. カルバモイルリン酸の自発的分解によって生じる低分子窒素化合物.N≡C-OHで表されるが,互変異性体であるイソシアン酸HN=C=Oとの混合物となる.反応性の高い物質で,タンパク質を修飾する作用がある.一部の細菌やシアノバクテリア,および植物はシアン酸をアンモニアとCO2に分解する酵素であるシアナーゼをもっており,シアン酸を分解・無害化するとともに,生じたアンモニアを窒素源として再利用していると推定される.シアナーゼをもつシアノバクテリアの一部には、シアン酸に対してきわめて高い親和性(Km, 〜0.025 µM)を示すABC輸送体をもつものがある。この輸送体は、しばしばデータベース上で類似のABC型硝酸イオン・亜硝酸イオン輸送体と混同されており,実際に第2の基質として亜硝酸イオンを輸送するが,亜硝酸イオンに対する親和性は比較的低く(Km, 〜20 µM),シアン酸存在下では亜硝酸イオンの吸収は阻害される.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:13