光合成葉におけるショ糖合成は,還元的ペントースリン酸回路で生じ,葉緑体包膜の三炭糖リン酸トランスロケーターにより細胞質へと輸送された三炭糖リン酸から始まる.三炭糖リン酸(ジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3-リン酸)からアルドラーゼの働きでフルクトース1,6-ビスリン酸(F1.6BP)が合成され, F1.6BPは細胞質フルクトースビスホスファターゼ(FBPase)により分解されてフルクトース6-リン酸(F6P)を生じる.さらにF6Pの一部はグルコースリン酸イソメラーゼ,ホスホグルコムターゼ,UDP-グルコースピロホスホリラーゼによってグルコース6-リン酸,グルコース1-リン酸, UDP-グルコースへと順に変化し,UDP-グルコースとF6Pからショ糖リン酸シンターゼ(SPS)の働きでショ糖リン酸を生じる.最後にショ糖リン酸がスクロースホスファターゼによって脱リン酸化されてショ糖が生成される.この経路では細胞質FBPaseとSPSがキーエンザイムとして重要である.なお,日中葉緑体に蓄積されたデンプンが夜間に分解されてショ糖に変換される場合には,デンプン分解で生じたグルコースがグルコーストランスロケーターによって細胞質に輸送され,ヘキソキナーゼによりグルコース6-リン酸となった後に上記経路をたどると考えられている.また,シンク器官におけるショ糖合成もSPSによって行われていると考えられているが,不明な点が多い.