酸素発生型光合成におけるエマーソン効果の発見により仮定された,2つの光化学系の存在に基づき,HillとBendall (1960)は,以前にHillらにより見いだされたシトクロムfとシトクロムb6の電子伝達鎖上での位置を示す模式図を提唱した(下図参照).1つの光化学系は水を分解するため,+0.8V程度の酸化力をつくり,シトクロムb6を還元する.電子はシトクロムb6 (0V付近)からシトクロムf(+0.4V付近)に流れ,もう1つの光化学系はシトクロムfを酸化し,NADP+を還元できる-0.4 V近くの還元力をつくり出す.縦軸に酸化還元電位をとり,横軸に電子の流れる順序をとって電子伝達成分を図示すると,Zという文字を横にしたような形になるため,ゼットスキームモデルと呼ばれている.現在ではシトクロムbの位置などに変更があるものの,2つの光化学系が直列に配置し電子伝達系をつくっているとする基本的な考え方は受け入れられている.