ビリベルジンはヘムオキシゲナーゼによってヘムを開環して合成される.開環反応の起こる部分は4箇所あるが、ビリベルジンⅨαがフィコビリン色素の生合成において重要な中間体となる.また、細菌や菌類、一部のシアノバクテリアなどのフィトクロムの発色団は、ビリベルジンⅨαである.ビリベルジンは、ヘム由来の開環テトラピロールとしては、もっとも長波長の遠赤色光を吸収することができるが、光合成色素としての報告はない.
ビリベルジンはフィトクロムのアポタンパク質と結合する部位が、フィコシアノビリンやフィトクロモビリンなどと異なっている.つまり、ビリベルジンのC3位はビニル基で、システイン残基の付加を受けるのは末端のC32位の炭素原子である.一方、フィコシアノビリンやフィトクロモビリンのC3位がエチリデン基で、システイン残基の付加を受けるのはC31位の炭素原子である.そのため、発色団がアポタンパク質内でほぼ同じ位置に保持されても、付加するシステイン残基の位置が大きく異なることが知られている.そのため、フィトクロムにおいて、ビリベルジンを共有結合するシステイン残基はPASドメインのさらに上流に保存されているが、フィコシアノビリンやフィトクロモビリンを共有結合するシステイン残基はGAFドメイン内部に保存されている.