フィコビリンの生合成[phycobilin biosynthesis]

 フィコビリンはアミノレブリン酸よりプロトポルフィリンⅨヘムビリベルディンIXαを経て生合成されることがCyanidium cardariumを用いた研究で知られている. Cyanidium細胞のヘムオキシゲナーゼ活性は,光,糖,アポフィコビリタンパク質の合成との共役により調節されている.フィコビリン生合成のビリベルジン以降の反応については研究が遅れていたが,フィトクロム発色団であるフィトクロモビリンの生合成研究により同定されたフィトクロモビリン合成酵素と相同性を示す機能未知遺伝子が,フィコビリンをもつ生物に分布することがわかり,一群のビリンレダクターゼ遺伝子が同定された.その遺伝子産物の酵素活性の検出によってフィコビリン生合成の理解が進展した.すなわち,ビリベルディンIXαの(2,3) (C181,C182)位を還元して3(Z)-フィコシアノビリンを合成する酵素,ビリベルジンⅨaの(C15.16)位を還元し15,16-ジヒドロビリベルジンを合成する酵素, 15,16-ジヒドロビリベルジンの2,3位を還元し3(2)-フィコエリスロビリンを合成する酵素に対する遺伝子が同定され,pcyA, pebA, pebBと命名された.これらのビリン還元酵素はいずれもフェレドキシン依存的である.フィコビリビオリンやフィコウロビリンの生合成酵素は未同定である.また, 3(Z)-フィコシアノビリンと3(Z)-フィコエリスロビリンは3(E)型の異性体としてフィコビリンアポタンパク質に結合すると考えられているが,異性化酵素の同定は進んでいない.

phycobilin biosynthesis.png

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:23