ペリジニン-クロロフィルaタンパク質複合体[peridinin-chlorophyll a protein complex]

  渦鞭毛藻がもつ特異なカロテノイド分子であるペリジニンを結合しているクロロフィル-カロテノイド-タンパク質(複合体)をいう.しばしばPCPと略されることがある.水溶性PCPと膜内在性PCPがあり,水溶性PCPのほうは1960年代に発見された.水溶性PCPは葉緑体中でチラコイド膜の内腔,すなわちルーメン側に存在するという際立った特徴がある. 1996年にドイツとオーストラリアの共同研究によってAmphidinium carteraeから分離された水溶性PCPの結晶構造が示された.8分子のペリジニンと2分子のクロロフィルaが疑似2回回転対称のタンパク質中に,それぞれ4分子と1分子ずつ配置されている.タンパク質の特徴は,8本のαヘリックスがJelley role 状構造を示すことである.この単量体が3分子会合して,機能的な単位をつくって,チラコイド膜のルーメン側に局在する.ペリジニンからクロロフィルaへのエネルギー移動効率はほぼ100%で,カロテノイドからの移動効率としてはきわめて高い.このエネルギー移動過程はフェムト秒分光法によって解明されており,ペリジニンの禁制の第一励起準位からクロロフィルaの許容の第一励起準位へ起こることが示された.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:22