二酸化炭素を,太陽光エネルギーを利用して還元固定し,有用な資源に変換できれば,人類が直面している地球温暖化やエネルギー問題の理想的な解決法となる可能性がある.二酸化炭素を還元固定する人工的な光触媒システム(人工光合成)は,通常3つの構成要素から成っている.すなわち,光を吸収し電子移動を開始する光増感剤,電子を供給する犠牲剤,二酸化炭素を活性化させ,多電子還元する触媒である.光増感剤としてはルテニウム錯体,触媒としては金属錯体・半導体・金属・酵素を用いた例が多く,触媒の種類により,生成物や反応効率に大きな違いが生じる.また,レニウム錯体のように,光増感剤と触媒,両方の働きを兼ね備えた光触媒も報告されている.