光化学系Ⅰの蛍光誘導[PSI variable fluorescence]

 植物に光を照射すると,クロロフィルの蛍光が観察される.この蛍光強度は時間とともに変化する(→蛍光の誘導期現象).この現象は光化学系Ⅱの電子受容側にある電子伝達体の酸化還元レベルの変化を主に反映している.光化学系Ⅰに属しているクロロフィルも蛍光を出すがその蛍光収率が低いため,このような現象は通常検出できないが,特殊な条件下では光化学系Ⅰの蛍光の誘導期現象を観察することができる.光化学系Ⅰの末端から先に電子が流れないような強い還元条件下で光を照射すると,光化学系Ⅰの電子受容側の電子伝達体が次々に還元される.このとき, 700 nm 付近に極大をもつ蛍光(F705)が現れ,その強度が光照射とともに増加していく.この蛍光は,光照射によって電子受容体に到達した電子がその先に行けないためP700に逆行するときP700の励起状態を形成し,これが基底状態に戻るときに蛍光発光するものと考えられている.この蛍光寿命は50ナノ秒程度と通常のクロロフィルの蛍光寿命に比べてかなり長いことが知られている.(→蛍光寿命遅延蛍光)

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:08