生態系において,ある期間中に植物が生産した乾燥重量.植物において,光合成による生産(総一次生産)から呼吸による消費のみを差し引いたものである.被食やリターとして脱落したものも生産量に含まれる.純一次生産は生態系に流入する炭素量に相当し,その生態系の現存量や生物多様性に大きな影響を与える.農作物では,条件がよい土地では純一次生産は数kg m-2 y-1 と高い値をもつ.自然群落では,純一次生産は降水量と気温によって決まる.降水量が多く,平均気温が高い熱帯雨林では数kg m-2 y-1 に達するが,温帯では1 kg m-2 y-1 前後,寒帯や乾燥地では1 kg m-2y-1 を下回ることが多い.純一次生産には様々な推定方法がある.温帯の草本群落の場合は,群落の現存量が最大になったときに,その現存量を年間の純一次生産と見なす.森林群落の場合は,幹の成長量とリターの回収量から推定することが多い.近年では,フラックスタワーを使って森林のガス交換を測定し,森林が吸収した炭素量に土壌呼吸による放出炭素量を加えることによって推定する方法も使われている.