色素体分裂リング[plastid dividing-ring]

  色素体分裂部位の狭窄部に形成される高電子密度のリング状構造.藻類から陸上植物にいたる植物群で普遍的に認められ,色素体の分裂装置を構成している.電子顕微鏡によって分裂狭窄部の外包膜の細胞質側表面と内包膜のストロマ側表面に接した二重のリング状構造(plastid dividing-ring doublet)として認められる.これら2つのリングはそれぞれ,細胞質リング(cytosolic ring),ストロマリング(stromalring)と呼ばれる.紅藻Cyanidiochyzon merolaeでは内包膜と外包膜の間にもリング状構造が存在するとされている.高等植物では幅が約20~40 nmであるが,藻類では100 nm に及ぶものがある.近年,細菌の分裂リングであるFtsZリングと相同な色素体FtsZリングが内包膜のストロマ側に存在することが明らかになり,こわがストロマリングである可能性が考えられたが,色素体FtsZリングは細菌のFtsZリング同様,色素体分裂リングのような高電子密度のリング状構造でないことや抗FtsZ抗体を用いた免疫電子顕微鏡法による観察結果は,両者が別の構造であることを示している.オオムギの変異体の一つであるalbostriansの白色組織の色素体は色素体リボソームを欠くが,そのような色素体でも色素体分裂リングが形成され,正常な色素体と同様に色素体分裂が行われる.したがって,色素体分裂リングを構成するタンパク質は核ゲノムにコードされていると考えられる.最近になって、紅藻Cyanidiochyzon merolaeにおいて細胞質リングがグルカン繊維束であること、その形成にPDR1というタンパク質が関与することが示された。四重または三重膜で包まれた二次共生起源の色素体では,色素体分裂リングは内側の二重膜の外側に形成される.このことは,二次共生起源の色素体においても,色素体分裂リングが普遍的に存在していることを示すと同時に,内側の二重膜が一次共生起源の色素体包膜に相当するという考えを支持する証拠の一つにもなっている.

関連項目


Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:36:48 (1794d)

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