葉脈[vein]

 に形成される維管束系で,葉身全体に張り巡らされるように発達する.シダ植物や裸子植物の葉脈は,二又分枝を基本とした配列をとる.一方で,被子植物の葉脈では,網状脈や平行脈,掌状脈などの複雑な配列を持つ.また,被子植物では,葉脈に階層性があり,葉柄に繋がる葉脈を一次脈と呼び,分岐するに従い,二次脈,三次脈…と呼び,高次の葉脈ほど細くなる.中肋の発達する一次脈,二次脈を主脈と呼び,それよりも高次の脈を細脈と呼ぶ.
 主脈は,大きな面積の篩部と木部を持ち,水や光合成産物の葉内の長距離輸送を担っている.また,主脈では厚角組織や葉緑体を含まない柔細胞が発達し,葉身の機械的支持の機能も担っている.細脈は,木部で輸送された水を葉肉細胞や気孔へ輸送したり,葉肉細胞からの光合成産物をローディングする場所として機能している.細脈の長さは,葉脈の総延長の約90%以上を占めており,高い密度で葉の隅々へ張り巡らされている.細胞間の水や糖の移動速度は,木部や篩部での移動にくらべて極めて遅い.このため,高い密度で細脈が配置されることで効率的な輸送が実現できる.多くの植物種で比較した研究から,葉脈密度は,葉の通水コンダクタンスや光合成速度と強い正の相関があることが示されている.また,葉脈密度は,シダ植物から裸子植物,被子植物へ進化するにつれて高くなる傾向がある.こうしたことから,現在の被子植物の高い生産性と繁栄を考えるうえで,葉脈密度は鍵となる形質である,とする研究もある.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:35