電気化学ポテンシャル[electrochemical potential]

 イオンなどの電荷をもつ成分が系を出入りするときの自由エネルギー変化を,出入りする量で割ったもの.一定量の出入りがあるときの自由エネルギー変化に対応する.電荷をもたない溶質が膜を隔てて濃度ci,coの溶液として存在するとき,その化学ポテンシャル差(化学的位置エネルギー差)は, RT lnci/coで表される.イオンなどの電荷をもつ溶質の場合は,これに膜電位による項(静電的ポテンシャル)zFΨが加算される.zは電荷の価数,Fはファラデーの定数,Ψは膜電位(膜の両側の電位差)である.したがって,電気化学ポテンシャル差は,RT ln ci/co+zFΨで表される.生体膜を隔てた電気化学ポテンシャル差は電気化学的勾配ともいい, ATP合成の駆動力として重要.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:21