C4植物[C4 plant]

  C4ジカルボン酸回路による大気CO2の初期固定に引き続き,還元的ペントースリン酸回路を働かせることにより炭素同化を完結する植物.最初の光合成固定産物がC4化合物 であることから,こう呼ばれる.サトウキビ,トウモロコシをはじめ熱帯・亜熱帯性のイネ科,カヤツリグサ科,ヒユ科,アカザ科植物など20科1,200種が報告されている.
詳細な進化系統解析により,60回以上も独立に起こった進化形質であると考えられている.
C4植物の最大光合成速度はC3植物よりも高く,光合成速度の飽和にはより強い光が必要である.光合成適温もC3植物に比べ高い.C4植物の葉では,葉肉細胞と維管束鞘細胞という2種類の光合成細胞が機能分化しており,C4ジカルボン酸回路のもつCO2濃縮機構の働きにより,光呼吸の抑制と高い光合成能を示す.そのほか,水利用効率や光合成窒素利用効率もC3植物に比べ高い.C4植物はC4ジカルボン酸の脱炭酸反応過程の違いにより3つのC4植物サブタイプに分けられる.C4植物はC3植物から多元的に生じたと考えられており,詳細な分子進化系統関係の解析から,60回以上も独立に進化した進化形質であると考えられている.進化途上ともくされる両者の中間的な特徴をもつ植物(C3-C4中間植物)もみられる.また,生育環境の違いによりC4型とC3型との間で光合成型を切り替える植物(Eleocharis vivipara)も見いだされている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:12