C3-C4中間植物[C3-C4intermediate plant]

  3植物C4植物との中間的な光合成特性をもつ植物. Moricandia arvensis(アブラナ科)やPanicum milioides (イネ科)では,C3植物と同じように還元的ペントースリン酸回路により炭素同化を行っているが,二酸化炭素補償点はC3植物とC4植物との中間的な値を示す.これらの植物では,葉の内部構造もC3植物とC4植物との中間的な特徴を示し,維管束鞘細胞の中に多量の葉緑体とミトコンドリアを含む.グリコール酸回路の酵素であるグリシンデカルボキシラーゼは,維管束鞘細胞のミトコンドリアに局在しており,この反応過程で放出されたCO2は葉緑体によって効果的に捕捉される.また, Flaveria ramosissimaF. floridana (キク科)では,このほかC4光合成代謝も付加的に働いており,よりC4植物に近い特徴をもつ.これらの植物では,ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼNADP-リンゴ酸酵素などのC4光合成酵素の活性がC3植物よりも高い. フラベリア(Flaveria)属では,C3植物に近いものからC4植物に近いものまで様々な段階のC3-C4中間植物がみられ,C4光合成の遺伝進化機構の研究にしばしば用いられる. C3-C4中間植物はこれまでに,ヒユ科のAlternanthera属,アカザ科のオカヒジキ(Salsola)属,キク科のFlaveria属,Parthenium属,アブラナ科のDiplotaxis属,Moricandia属,ザクロソウ科のザクロソウ(Mollugo)属,イネ科のキビ(Panicum)属, Neurachne属,カヤツリグサ科のハリイ(Eleocharis)属など,少なくとも7科10属で見いだされている.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:31