シアノバクテリア(藍藻),灰色藻、紅藻およびクリプト藻に分布している青色の色素タンパク質フィコシアニンの生合成に関与する遺伝子群.フィコシアニンのα,βサブユニットをそれぞれコードするcpcA, cpcB,フィコシアニンロッド間のリンカーポリペプチドをコードするcpcC, cpcD,フィコシアニンロッドとアロフィコシアニンコア間のリンガーポリペプチド(ロッド-コアリンカーポリペプチドという)をコードするcpcG,フィコシアニンロッドを光化学系Ⅰ複合体に結合させるロッド-膜リンカーポリペプチドをコードするcpcL,色素部分フィコシアノビリンのαサブユニットアポタンパク質への結合を触媒する酵素αサブユニットフィコシアノビリンリアーゼをコードするcpcE, cpcFがある.cpc遺伝子の転写単位の構成は種によって異なるが,シアノバクテリアではcpcBAがオペロンを形成しており,その下流にcpcCD, cpcEF,もしくはcpcCDEFが並んで1つの大きなオペロンを形成することが多い.オペロンには転写終結点が複数存在するが,cpcBAの下流で転写が終結する割合が高くなっており,結果としてα,β両サブユニットが大量に等量合成されるように調節されている.
一部のシアノバクテリアでは、cpcBAを含むcpcオペロンが複数存在する.補色馴化を行う一部の種では,構成的に発現するcpc-1オペロンと、赤色光で誘導されるcpc-2オペロンが存在する.この場合、赤色光下ではフィコビリソームのロッドの一部のフィコエリスリンをフィコシアニンに置き換えられ、緑色光下ではロッドの一部のフィコシアニンがフィコエリスリンに置き換えられ、効率的に光を捕集する.また、一部の種では、硫黄欠乏で誘導されるオペロンがある.また、補色馴化を行う多くの種では,緑色光で誘導されるオペロンにフィコエリスリン形成の遺伝子だけでなくcpcL遺伝子を含むことが多い.紅藻でも葉緑体ゲノム上にcpcBA, cpcC, cpcGが見つかっている.