マラリア原虫(Plasmodium)やトキソプラズマ(Toxoplasma)などのアピコンプレクサ類がもつ光合成能を欠く色素体.4重膜に囲まれ,色素体DNAに相同な環状DNA(マラリア原虫では約35 kb)をもつ.これをもつ生物にとってアピコプラストは不可欠なオルガネラであり,脂肪酸やヘム合成に関与している.おそらく紅色植物との二次共生に由来し,クロメラ類の葉緑体や渦鞭毛植物のペリディニン型葉緑体と同一起源.ただしアピコンプレクサ類の中でもグレガリナ類(クリプトスポリジウム Cryptosporidiumを含む)では構造的,ゲノム的にアピコプラストが見つかっておらず,アピコプラスト(色素体)を二次的に失ったと考えられている.