ヘムを補欠分子族とするタンパク質で2種類に大別できる.すなわち,ヘモグロビンとシトクロムである.ヘモグロビンの機能は酸素の結合・解離であり(なかにはレグヘモグロビンのように結合が主のものもある),ヘム鉄は2価である.一方,シトクロムはヘム鉄が2価,3価と変化することにより機能を発揮する.ヘモグロビンのグループには,他にミオグロビン,エリトロクルオリン(以上ヘムBをもつ),クロロクルオリン(クロロクルオロヘムをもつ)がある.シトクロムのグループには,シトクロムaa3, b, bd, bo, c, cd1,シトクロムP450などがあり,その他にヘムをもつペルオキシダーゼがある.またアンモニア酸化細菌のもつヒドロキシルアミンオキシドレダクターゼは21分子のヘムCと3分子のヘムP-460をもつ.シトクロムcおよびある種のペルオキシダーゼを除くほとんどのヘムタンパク質は,塩酸酸性アセトンで処理するとヘムがタンパク質から離れてくる.ヘムタンパク質のヘムの種類は,塩酸酸性アセトンによるヘムの抽出の可,不可とピリジンフェロヘモクロムのα吸収ピークの位置により知ることができる.