チトクロムまたはチトクロームともいう.酸化還元可能な鉄を結合したヘムをもつタンパク質の総称.ヘムの種類と結合様式により,シトクロムa, b, c,dなどに大きく分類される.
b型シトクロムとしては,光合成細菌がもつシトクロムbc1複合体の構成成分であるシトクロムb.酸素発生型光合成を行う生物がもつ光化学系II複合体に含まれるシトクロムb559.それに,シトクロムb6f複合体を構成するシトクロムb6などがある.
c型のシトクロムとしては,光合成細菌の反応中心とシトクロムbc1複合体間で働く可溶性のシトクロムの他に,シトクロムb6f複合体に含まれるシトクロムf,シトクロムbc1複合体を構成するシトクロムc1などがある.なお,多くの藻類は光化学系Ⅰ反応中心(P700)への電子供与体としてプラストシアニンではなく,可溶性のシトクロムc6を使っている.また,シアノバクテリア,灰色藻,紅藻,および紅藻の二次共生体を起源とする生物には,光化学系Ⅱの表在性タンパク質として低電位型のシトクロムc550が存在する.