プラストシアニン[plastocyanin]

  加藤栄によって1960年に緑藻クロレラから発見された電子伝達体.酸素発生型光合成生物のチラコイド膜内腔(ルーメン)に存在し,シトクロムb6f複合体シトクロムfと光化学系Ⅰ反応中心のP700との間の電子伝達反応を行う.生育環境中の鉄や銅の含量によって,プラストシアニンとシトクロムc6の置き換わりが起こることが一部の藻類において知られている.藻類,シアノバクテリアではシトクロムc6のみをもつものもある.ポプラにはアミノ酸配列がわずかに異なる2種のプラストシアニン(aとb)が存在する.プラストシアニンは分子量約1万のアポタンパク質に銅イオンが1つ結合したもので,タイプ1のブルー銅タンパク質である.酸化還元反応は銅イオンの1価と2価の変化に対応する.酸化型は600 nm 付近に幅広い吸収ピークを示し,青色を呈する.ミリ分子吸光係数は4.9で,酸化還元電位は約390 mV である.チラコイド膜標品をHgCl2で処理すると水銀が銅と置き換わり,光化学系Ⅰの反応中心P700の再還元反応が阻害される.また,poly-L-lysineはその正電荷でプラストシアニンを引きつけ,チラコイド膜内腔での移動を阻害することで,電子伝達反応を阻害する.X線構造解析やNMR測定により,多様な種から調製されたプラストシアニンの原子レベルでの立体構造が報告されている.プラストシアニンはグラム陰性細菌などがもつ水溶性タイプ1銅タンパク質アズリンと共通の構造モチーフをもち,タンパク質構造的にプラストシアニン・アズリンファミリーを構成する.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:30