葉緑体(色素体)とは異なる起源の一次共生に起因する光合成オルガネラをもつ糸状仮足アメーバ.この光合成オルガネラはクロマトフォア(chromatophore)またはシアネル(cyanelle)とよばれ,青緑色を呈し,勾玉状,ふつう1細胞に2個存在する.クロマトフォアは2枚の膜に囲まれ,その間にはペプチドグリカン層が存在する.クロマトフォアは(進化的な意味で)ごく最近起こったシアノバクテリア(シネココッカスやプロクロロコッカスに近縁であることが示されている)との共生に起因する.葉緑体と比較して,多くの遺伝子を残した比較的大きなDNA(約1000遺伝子,1 Mb),多数のカルボキシソーム,厚いペプチドグリカン層などシアノバクテリア的な特徴を多く残しているが,一方でゲノムサイズの縮小(近縁なシアノバクテリアと比較して約1/3),一部の遺伝子の喪失および宿主核への転移(endosymbiotic gene transfer,EGT),細胞分裂における娘細胞への分配など既にオルガネラ化の初期段階にあると考えられている.クロマトフォアDNAの塩基配列が報告されている.
珪酸質の鱗片からなる殻をもち,その殻の一端にある開口部から糸状仮足を伸ばす.分裂時には開口部で鱗片を組み上げて新たな殻を形成し,その中にクロマトフォアを含む娘細胞の1つが移動する.淡水止水域に生育する.
クロララクニオン藻と同じくリザリア,ケルコゾア門に属するがその中では比較的遠縁であり,インブリカテア綱,ユーグリファ目に分類される.同属の近縁種(P. ovalisなど)も含めてユーグリファ目の他の生物はクロマトフォアを欠き,捕食栄養性である.