Mitchell, PeterDennis, 1920-1992.英国の生化学者.ケンブリッジ大学で教育を受け,同大学とエジンバラ大学での教育と研究ののち, Glynn研究所を設立し,研究活動を行った.生体膜における電子伝達に共役して起こるADPからのATPの生成(酸化的リン酸化と光リン酸化)の機構として化学浸透説を提唱した.膜を介する水素イオンの電気化学ポテンシャル差によって駆動される水素イオンの輸送に共役して膜の可逆的ATP合成酵素がATPを合成するというこの考えは,最初支持者が少なかった.しかし,この説を支持する実験的根拠が多く得られるようになり,一般的に認められるようになった.ミッチェルはまた,エネルギー変換膜のシトクロムbc1複合体における電子の流れと水素イオンの輸送を結びつけるQサイクルモデルを提案した. 1978年にノーベル化学賞を受けた.