リポキシゲナーゼ[lipoxygenase]

  非ヘム鉄を活性中心にもつ分子量90~100 kDa の脂肪酸オキシゲナーゼ(linoleate oxygen oxidoreductase, EC1.13.11.12). 1,4-ペンタジエン構造を有する不飽和脂肪酸から脂肪酸ヒドロペルオキシドを生成する.植物にはリノレン酸リノール酸の9位または13位にヒドロペルオキシ基を導入するリポキシゲナーゼが存在する.
 植物界に広く分布し,一つの植物種に数個から十数個のアイソザイムが存在する.各アイソザイムは植物の成長から環境応答に至るまで,それぞれに固有の多岐にわたる機能を担っている.たとえば,生成物の脂肪酸ヒドロペルオキシドからジャスモン酸,短鎖アルデヒド,ヒドロキシ脂肪酸などの種々のオクタデカノイドが生成される(リポキシゲナーゼ経路).特に葉緑体局在型はジャスモン酸類生合成に必須である.液胞局在型は栄養組織貯蔵タンパク質(vegetative storage protein)として過剰な窒素源の一過的な貯蔵を担う.また,発芽油糧種子の脂肪転流が盛んな時期にもリポキシゲナーゼが誘導される.これは遊離脂肪酸だけでなく,グリセロ脂質のアシル基にも直接作用することができる.

lipoxygenase.png

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:44