窒素固定シアノバクテリア[nitrogen-fixing(diazotrophic) cyanobacteria]

  シアノバクテリアのうち大気中の分子状窒素(N2)をアンモニアに還元する窒素固定能力をもつものの総称.窒素固定の能力は単細胞・糸状体種の多くのシアノバクテリア分類群に散見されるが,普遍ではない.大部分は単生であるが,真核藻類・地衣類・シダ植物・裸子植物などと共生する種も知られている.環境に窒素化合物が不足する条件で主としてニトロゲナーゼ(nif)遺伝子が発現することで窒素固定活性が出現する.シアノバクテリアは好気生物でしかも光合成は酸素発生型なので,多くの窒素固定シアノバクテリアでは一部の細胞を光化学系Ⅱを欠いた窒素固定細胞(ヘテロシスト)に分化させることで光合成系と窒素固定系を空間的に分離したり,窒素固定と光合成の起こる時間を分離することで酸素感受性の高いニトロゲナーゼを酸素から保護している.しかし,嫌気・微嫌気条件でのみ窒素固定活性を発現する種も存在する.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:09