セクションⅣ, Ⅴに属する糸状体シアノバクテリアが主として窒素欠乏条件で分化する細胞.糸状体に沿って数細胞~十数細胞おきに1個分化する種や糸状体先端に分化する種がある.厚い細胞壁や黄色味を帯びた細胞色などにより光学顕微鏡下でも栄養細胞と区別できる.分化の過程で光合成酸素発生系が消失すること,糖脂質を主成分とする酸素侵入の障壁となる細胞壁が形成されること,好気条件ではニトロゲナーゼがヘテロシストに局在することなどから,酸素感受性の高いニトロゲナーゼを酸素から保護して窒素固定を行う細胞と考えられている.分化の過程で順次発現する一群のhet遺伝子が主としてAnabaena属シアノバクテリアで同定されており,分化を誘導する環境応答・信号伝達機構の解明が進められている.