直線偏光によって物質が照射されたとき,光の電気ベクトルと物質の遷移モーメントが一致した分子が多く光を吸収し励起される.その状態から発光が起こる場合,遷移モーメントの分布に偏りがあるために,蛍光の遷移モーメントに偏りが生じる.これを蛍光の偏光という.偏光性は分子がまったく動かない場合は蛍光寿命の間保存されるが,一般には様々な要因で失われる.これを偏光解消という.偏光していない光源で照射されたときには,遷移モーメントの偏りが生じないために蛍光も偏光性を示さない.配向した試料を直線偏光で励起することによって,色素の空間的な配向などに関する情報を得ることができる.