後に種子になる器官である胚珠が心皮に被われず露出された状態にある種子植物を指す。葉形態は針葉状が多いが,ナギやイチョウのように広葉の種も存在し分子系統学的には単系統である。他にソテツ類・マオウ類などの現生種を含む。高緯度地域を広く覆うのはマツ科が多く,永久凍土地帯では落葉針葉樹のカラマツ属,季節凍土地帯では常緑性のトウヒ類などが優占する。1994年にオーストラリアで発見されたWollemi Pineは生きた化石とされる。針葉は2,3,5葉に大別され,5葉マツでは上部からの光利用能力が低く斜面に優占する。針葉樹では暗所でクロロフィルを生成し葉緑体(D-葉緑体とよぶ)を形成する。暗所で生育したトウヒ子葉のD-葉緑体はよく発達したチラコイド膜の外にわずかなグラナと小さなプロラメラボディをもつ。このことはクロロフィル生合成の中間体プロトクロロフィリドとプロトクロロフィルの存在を示す。暗所におけるクロロフィル生合成の経路は明所でみられるものと本質的に同じである。チラコイド膜内の光合成単位のサイズは小さく,光照射によって集光性クロロフィルタンパク質が蓄積してサイズは増大する。同時にチラコイド膜からグラナが構築されて葉緑体形成が完成する。針葉樹ではグラナ形成が葉緑体形成の律速となっていることが推察された。1971年に葉緑体の父系遺伝の可能性がクロマツの交雑育種から示唆され,1987年にはカラマツ類を対象にDNAレベルで明らかにされ父系遺伝が確定した。世界一の高木は米国・カリフォルニアのレッドウッドやセコイアなどの針葉樹であるが,100 m近い樹冠の針葉でさえも光合成を営むことができる一因として,針葉中に水溜の存在することが関連するという。なお,裸子植物の通水は仮導管が担う。また,主にヤニ(樹脂)によって虫害への防御を行う。