鉄硫黄クラスターB[iron-sulfur cluster B]

  鉄硫黄センターBとも呼ばれる.光化学系Ⅰの電子受容体の一つ.FBと略称される. [4Fe-4S]構造をもち, PsaC上に存在する.酸化還元電位は約-600mVと測定されており,鉄硫黄クラスターAよりマイナスの酸化還元電位をもつが,鉄硫黄クラスターXに対してより遠くに位置しているため(FX-FB間の距離は22.0Å),生体内では鉄硫黄クラスターAから電子を受容し,水溶性電子受容体であるフェレドキシン(鉄欠乏条件下ではフラボドキシン)に電子を与えると考えられている.光化学系Ⅰ膜結合性の末端電子受容体であるため, P700からFBに到達した電子は約60ミリ秒で再びP700へ戻る.FBは還元されると10K程度の極低温でg=1.89,1.92, 2.05付近に特徴的なEPRシグナルを示す.鉄硫黄クラスターBが鉄硫黄クラスターAとともに還元されるとEPRシグナルの相互作用が起こり,鉄硫黄クラスターAとBのシグナルを足したものとは異なるシグナルが得られる.緑色イオウ細菌やヘリオバクテリアも光化学系Ⅰ型反応中心をもち,電子受容体としてFBが機能している.緑色イオウ細菌ではPscB上に,ヘリオバクテリアではPshB上に存在している.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:50