青色光によってひき起こされる光応答反応は,緑色植物のみならず,原核生物,菌類,昆虫など広い範囲の生物種や生命現象でみられる.典型的な作用スペクトルは, 440~450 nm に最大のピーク, 370~380 nm にもう1つのピークを示す.種子植物では,茎の伸長抑制,光屈性,葉緑体光定位運動,気孔開口,概日リズムなどが知られる.青色光受容体は,フラビン,カロチン,プテリンなどを発色団とする色素タンパク質であると予想されてはいたが,長年未同定であった.シロイヌナズナにおいて,茎の伸長抑制の光受容体としてクリプトクロム,茎の光屈性の光受容体としてフォトトロピンが同定された.また,それらの突然変異体を用いた研究から,2つの光形態形成反応が,作用スペクトルは似ているが,異なる光受容体によって制御される独立の反応であることもわかった. 2002年にはミドリムシから光驚動反応と光走性の光受容体としてPAC(photoactivated adenylyl cyclase)が,紅色非硫黄細菌(Rhodobacter sphaeroides)からは光合成関連遺伝子の光依存発現調節因子としてAppAが同定された.PACとAppAはともにFADを発色団としており,FAD結合部位は共通のアミノ酸配列をもつ.菌類などでは,カロテノイドの合成,光走性,分生子形成などが知られる.紅色硫黄光合成細菌のPYP(photoactive yellow protein)は光忌避応答の光受容体と考えられている.