CAM型光合成の一形態.通常の植物と同様に昼間にCO2を吸収し,夜間にはCO2を放出するというCO2交換が行われている状態で,光合成組織では有機酸 (主にリンゴ酸) が夜間に蓄積され昼間には消失するという日周変動がみられる現象をさす.その生理的意義については,急な乾燥条件の際にCAMがすぐに対応できるようにしているものと考えられている.ベンケイソウ科やサボテン科では, CAMサイクリングは系統的に古いSedum属やPereskia属でみられ,分化の程度が高いグループではCAMを示すようになる.コショウ科のPeperonia camptotrichaでは若い葉がCAMサイクリングを示し,葉齢が進行すると典型的なCAMとなる.樹木の中で唯一CAMを示すことが知られているClusia属においても,基本的には葉の光合成はCAMサイクリング状態にあり,乾燥ストレスや空気湿度の低下によってCAMへ移行する.また,裸子植物で唯一CAMを示すことが知られているWelwitschia mirabilisも基本的にはCAMサイクリング状態にあるものと考えられている.