CURT1 (Curvature Thylakoid 1)はチラコイド膜の形成と維持に必要な膜リモデリングタンパク質の1つである.光合成生物に普遍的に存在する.分子量は10-15 kDaでN末端に両親媒性領域とC末端に2つの膜貫通領域をもつ.シロイヌナズナには4つのパラログ (CURT1A, B, C, D)があり,四重変異体では大きく平たいグラナが観察される.シロイヌナズナCURT1はチラコイド膜のグラナマージンを含む膜の湾曲(Curvature)領域に局在し,膜を折り曲げる作用がある.CURT1は,光環境に応じたチラコイド膜の形態変化を調整し,光化学系IIの修復や電子伝達の最適化に関わる.シロイヌナズナではエチオプラストにおけるプロラメラボディ(PLB)の維持やPLBに由来するチラコイド膜の形成過程にも関与する.シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803では,CurTがチラコイド膜を折り曲げることで,細胞膜に向かったチラコイド膜の収束領域であるConvergence zone (CZ)の形成とCZで生じる光化学系Ⅱのアセンブリに関与している.