Lhc遺伝子[Lhc gene]

  集光性クロロフィルに吸収された励起エネルギーを分子間移動を経て反応中心に送り込む集光性クロロフィルタンパク質の遺伝子.以前はCab遺伝子と表記されたがLhc遺伝子への統一が提案された.光化学系ⅠとⅡにそれぞれの集光性クロロフィルタンパク質複合体(LHC)があり, LHCIとLHCIIに大別できる. LHCはその集光機能に注目されてきたが,過剰になったエネルギーの消去にも関わるとする考えも提出されている.光化学系Ⅰの集光性クロロフィルタンパク質複合体は少なくとも4種のタンパク質(20~24 kDa)より構成され,Lhca1~Lhca4の4遺伝子にコードされる.一方,光化学系Ⅱの集光性クロロフィルタンパク質複合体は少なくとも6種のタンパク質(24~28 kDa)より構成され, Lhcb1~Lhcb6の遺伝子が対応している.そのほかに微量な集光性クロロフィルタンパク質の遺伝子やELIP (earlylight-inducible proteins)遺伝子を加えると,約30の遺伝子から成る遺伝子ファミリーが推定されている.これらの遺伝子は核ゲノムにコードされているので,集光性クロロフィルタンパク質は細胞質の80Sリボソーム上で合成された後,プラスチドヘ輸送され集光性クロロフィルタンパク質複合体を形成する.Lhc遺伝子は光の正の発現調節を受け,少なくとも双子葉,単子葉を問わず被子植物ではエチオプラストから葉緑体への発達の過程でLhc遺伝子の発現が光によって誘導される.このとき光受容体としてフィトクロムが関与する.しかし,青色光やUV-ALhc遺伝子の発現を誘導するが,この過程で青色光受容体,クリプトクロムやフォトドロピンが光受容体として機能するという報告はない.また,Lhc遺伝子は光合成組織特異的な発現を示し,カロテノイドの合成欠損変異株や合成阻害剤存在下で色素体の発達が抑えられた条件ではLhc遺伝子の発現が低く抑えられるので,プラスチド由来の因子がLhc遺伝子発現に関与するものと考えられている.Lhc遺伝子の発現を制御する因子として,概日時計をあげなければならない.Lhc遺伝子の発現は概日リズムを示し,明期で最大を示し,暗期で最少を示す.しかし,Lhc遺伝子の光調節は,植物細胞の遺伝子調節の一つのモデルとして研究されてきた.Lhcb遺伝子に関する研究が主であるが,プロモーター領域に保存的にみられる光応答に関わるシスエレメントが探索された.しかし,まだ統一的な理解にまでは達していない.同様に,遺伝子の光応答に関わる転写調節因子の探索がなされ,G-ボックス結合タンパク質をはじめとするbZIP型の転写調節因子が同定されている.


Last-modified: 2015-03-25 (水) 13:51:56 (1796d)

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