キノン-鉄複合体[quinone-iron complex]

  紅色細菌の光化学反応中心と酸素発生型光合成生物の光化学系Ⅱ反応中心には,タンパク質に強く結合したQAキノン電子受容体(QA)と弱く結合したQBキノン電子受容体(QB)が存在する.これら2つのキノンは非ヘム鉄(Na2+)の配位子となるヒスチジン残基と水素結合しており, QA-His-Na2+-His-QBの構造を形成している.これらの光化学反応中心では,共通して4つのヒスチジン残基が非ヘム鉄の配位子となっているが,5番目の配位子は紅色細菌の場合にはグルタミン酸残基,光化学系Ⅱの場合には重炭酸イオンと異なっている.一方,QAとして機能するキノンは,紅色細菌ではユビキノンまたはメナキノン,光化学系Ⅱではプラストキノンであり,QBとして機能するキノンは,前者ではユビキノン,後者ではプラストキノンである. QA, QBのセミキノンラジカルは常磁性のNa2+との磁気双極子相互作用の結果. g =1.8近傍に特徴的な幅広い電子常磁性共鳴(EPR)シグナルを示す.還元された一次電子受容体は,1ナノ秒以内に一電子受容体として働くQAに電子を与え,QA-上の負電荷は再結合によって失われることなくQBに伝達される.ミリ秒の時間領域で進行するQBの二電子還元反応は,光化学反応中心内のプロトン伝達経路を経由した外部からのプロトンの移動と共役して進行する.

関連項目


Last-modified: 2015-03-26 (木) 12:07:44 (1721d)

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