Hatch, Marshall D., 1932-.オーストラリア(Perth)に生まれ,シドニー大学卒業, Ph.D.取得(1959)後,米国カリフォルニア大学デービス校(Stumpf研)で2年間脂肪酸合成の研究に参加した.オーストラリア民間製糖会社が新設したデビッド・ノース植物研究所(Brisbane)でサトウキビの基礎研究を始め,スクロースホスファターゼを見いだした後,スラックと共同で,コーチャックらの発見を14C/12CO2パルス・チェイス実験により詳細に検討し,C4ジカルボン酸回路を提案した(1966).続いて関連酵素活性と新酵素の発見,クランツ型葉構造の細胞間分業を生化学的に実証してC4回路を確立した.また,サトウキビ以外に多種のC4植物を見いだし,3種類のサブタイプ(→C4植物サブタイプ)に分けた. 1970年連邦理工学研究機構(CSIRO)植物工業部門(Canberra)に移り,C4植物の進化はRubisco (ルビスコ)へのCO2濃縮による光呼吸抑制機構の獲得であることを明らかにした.