主に高等植物で観察される現象で,光化学系Ⅱ反応中心に光エネルギーを伝達する集光性クロロフィルa/b タンパク質複合体(LHCII)の結合量が異なる2種類の光化学系Ⅱ複合体が存在することをさす.α-センターと呼ばれるものはLHCIIを結合し,グラナの積み重なった部分に存在するが,β-センターと呼ばれるものはLHCIIを結合しておらず,主にグラナのストロマに接する部分やストロマチラコイドに存在すると考えられている.通常の条件下で光化学系Ⅱは主にα-センターとして存在し,β-センターとして存在するのは25%もしくはそれ以下である.また,光化学系Ⅱでは活性の面からも不均一性が存在することが報告されている.たとえば,α-センターではQBキノン電子受容体(QB)の働きが正常であるが,β-センターではQBの働きはないとの報告がある.β-センターではQB部位に結合し,QAキノン電子受容体から直接電子を受け取ることができる2,5-dichoro-p-benzoquinoneなどの人工的電子受容体存在下でのみ酸素発生反応を観察することができる.ただし,上述のα-,β-センターと活性の不均一性の相関には異論もあり,確立した説にはなっていない.
光化学系Ⅱは光阻害が顕著に起こる条件で,光化学系Ⅱ反応中心複合体の構成タンパク質,特にD1タンパク質が光で損傷を受け,常に新しいD1タンパク質と置き換わっていることが知られている.このとき,傷害を受けた光化学系Ⅱ反応中心複合体は,修復のためにグラナの積み重なった部分からタンパク質合成が行われているストロマに面したチラコイド膜部分に移動する必要がある.このとき, LHCIIとの結合は一度切れると考えられるため,β-センターの一部は光阻害を受けた光化学系Ⅱ反応中心複合体ではないかとも考えられるが,確定的ではない.