葉,枝梢,花,果実などの各器官がそれらの基部に離層と呼ばれる特殊な細胞層を分化,発達させ,植物体より離脱すること.一般的に器官脱離は器官の成熟,老化の進行に伴う現象であるが,植物の生育環境が急速,急激に変化すると,たとえば葉などは未成熟のまま脱離することがある.あるいは,Quercus suberやQ.agrifoliaのように当年発達した葉が冬に完全に枯死してもなお植物体より離脱せず,そのまま越冬し,翌春新葉の出現に呼応してようやく離脱する植物もある(vernal abscission あるいはspring abscission).離層の発達に伴って,離層部細胞の細胞壁や細胞中間層がセルラーゼなどの作用によって分解され,最終的に通道組織が機械的に破壊されて器官は脱離する.植物ホルモンであるアブシジン酸,エチレンあるいはジャスモン酸は器官脱離を誘導するが,それに先立って離層部細胞においてセルラーゼ活性を上昇させるととともに細胞肥大を促進することが知られている.