離層形成[formation of an abscission zone (layer)]

 器官の成熟や老化の進行に伴って器官の脱離が生じるが,その器官脱離に先立って脱離する器官と植物体との接点に,薄い細胞壁をもつ特殊な細胞層が分化,発達する.このような細胞層を離層と呼ぶ.基本組織系に属する柔細胞からなるため機械的強度も小さい.組織学的な観察から,離層形成は葉柄などでは皮層部に認められるものの,通道組織には認められない.離層部細胞においては,局部的にRNAやタンパク質合成が起こり,セルラーゼ活性が上昇する.植物ホルモンであるアブシジン酸エチレンあるいはジャスモン酸を与えると,離層部細胞においてセルラーゼ活性が上昇する.脱離する器官側(たとえば葉など)にオーキシンを与えるとオーキシン誘導性エチレンが生成するものの,セルラーゼ活性の上昇が抑えられ,離層形成が阻害される.一方,最近の研究では,過酸化水素や脂肪酸の過酸化物が離層形成を促進し,またエチレンやジャスモン酸は元来離層が形成されない組織に対しても二次的に離層を誘導,発達させ,器官離脱をひき起こすことが報告されている.オーキシンはこのような二次的な離層形成に対しても阻害的に作用する..

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:01