項間交差[intersystem crossing]

  一般的にスピン多重度の異なる電子状態間の無放射遷移をさすが,特に最低励起一重項(S1)状態から最低励起三重項(T1)状態への遷移が重要である.基底状態が一重項状態である多くの分子は,光の吸収による直接励起あるいはより高い状態からの内部転換によりS1状態を生成する.S1→T1遷移はスピンの反転を伴うが,電子スピンの磁気モーメントと電子の軌道運動によって生成する磁場との相互作用によりこれが可能となる.このスピン-軌道相互作用は重原子やカルボニル基をもつ有機分子で特に大きくなることが知られている.光合成系において,カロテノイドは項間交差の量子収率がきわめて小さいが,クロロフィルでは大きい.三重項クロロフィルは,酸素分子を反応性の高い一重項励起状態に増感励起する(一重項酸素)ので危険である.アンテナ色素タンパク質複合体中のこれら光合成色素の配列は,カロテノイドヘの三重項エネルギー移動や励起子アニヒレーション反応によりこれを消去するように工夫されている.

関連項目


Last-modified: 2015-03-27 (金) 16:22:04 (1720d)

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