光合成色素[photosynthetic pigment]

  光合成反応のなかで光の吸収やエネルギー移動,また光化学反応による電子移動に関与する色素の総称.単に色素と呼ばれることもある.化学構造から,クロリンバクテリオクロリンポルフィリンカロテノイドフィコビリンの5種類に分類され,さらに側鎖の違いから多くの種類に分類されている.クロリン構造をもつものは,クロロフィルa, b, d,ジビニルクロロフィルa, b, バクテリオクロロフィルc, d, e,らがあり,バクテリオクロリン構造をもつものには,バクテリオクロロフィルa, b, gがある.近年,中心金属として亜鉛を含む亜鉛-バクテリオクロロフィルaが日本で発見された.バクテリオクロロフィル c, d, eには側鎖の構造が異なる誘導体の存在が知られている.バクテリオという接頭辞は光合成細菌で発見されたクロロフィルにつけられたが,化学構造とは必ずしも対応していないことに注意を払う必要がある.ポルフィリン構造をもつものにはクロロフィル cl,c2,c3,マグネシウムジビニルプロトクロロフィリドがある.また電子移動を担う特異な色素として,酸素発生型光合成生物にはクロロフィルa',クロロフィルd',フェオフィチンaが,また光合成細菌には亜鉛-バクテリオクロロフィルaバクテリオクロロフィルa',バクテリオクロロフィルg',バクテリオフェオフィチンaおよびb,バクテリオクロロフィル663, 81-OH-クロロフィルaなどがあり,これらも光合成色素に最近加えられた.海産の藻類などからは微量ながらも上記以外の色素の存在が報告されており,今後,光合成色素に組み込まれる色素は増加するものと考えられる.
 カロテノイドは炭素数40のイソプレノイド構造を基本骨格としており,側鎖,末端環構造の有無などによって分類され,光合成生物には少なくとも200種は見つかっている.しかし光合成反応で機能が判明しているものは少数に限定され,それらは光合成色素と通称される.カロテノイドには光吸収に関与するのではなく,光エネルギーの散逸にのみ寄与する分子の存在が知られているが,それらも光合成色素と通称されている.
 フィコビリンは開裂したテトラピロール環を基本骨格としてもち,側鎖の置換基や共役二重結合の位置などで4種類に分類される.シアノバクテリア,灰色植物,紅藻,クリプト藻にみられるフィコビリンタンパク質の発色団となっている.光合成色素は原則としてタンパク質と結合して機能を発揮する.その結合は配位結合であるが,フィコビリンだけがタンパク質と共有結合をしている.緑色細菌はバクテリオクロロフィル c, d,eの自己会合体を形成してアンテナとして機能させており,タンパク質が関与しない特異なアンテナ系であることが知られている.アンテナ色素は,光の吸収やエネルギー移動に関する色素をさす.

関連項目


トップ   編集 凍結解除 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:11