カロテノイドの一種.中央部の9個のC=C結合に加えて,2個のβ末端基から構成される共役二重結合系を持つ.一部の例外を除いて,酸素発生型光合成生物に普遍的に存在する最も代表的なカロテノイドであり,主成分である生物も多い.緑色糸状性細菌,緑色硫黄細菌,一部の好気性光合成細菌にも存在する.リコペンからリコペンβ-シクラーゼ(CrtL, CrtL-b, CrtY)により合成され,ゼアキサンチンなどに変化する.
光化学系Ⅰ反応中心,光化学系Ⅱ反応中心に存在し,反応中心クロロフィルの保護にあずかっている.そこでは三重項クロロフィルや一重項酸素の消去を担っている.紅色植物を除く光化学系Ⅰアンテナ色素タンパク質複合体(LHCI)に結合している.[[シトクロムb6f複合体]]には1分子ずつのクロロフィルaとβ-カロテンが結合しているが,機能は不明である.緑色糸状性細菌のクロロソームにはγ-カロテン,バクテリオクロロフィルとともに多量に存在するが,機能は不明である.
動物の視物質や好塩菌のレチナールは,β-カロテンなどがβ-カロテン・モノオキシダーゼにより分解されたものである.