光化学系Ⅱの光阻害[photoinhibition of PSII]

 光化学系Ⅱ複合体が光によって損傷を受け,活性が低下する現象.主に損傷を受けるのは,反応中心D1タンパク質である.光阻害の機構は光化学系Ⅱの電子受容側に原因する阻害と電子供与側に原因する阻害に分類される.電子受容側光阻害では,強光下においてプラストキノンプールが過還元状態になり,このため,通常は一電子還元される一次電子受容体プラストキノンQAが二電子還元されて光化学系Ⅱ複合体から遊離する.その結果,フェオフィチンからP680へ電子が逆行し,これによって生じたP680の三重項励起状態が酸素分子を励起して,一重項酸素を生成する.この一重項酸素が周辺のコファクターやタンパク質を損傷すると考えられている.電子供与側の光失活では, P680への電子供与活性が低下した光化学系Ⅱが強光下に曝されると,電子供与側に酸化力が蓄積し,これが周辺のクロロフィル分子や光化学系Ⅱのタンパク質などを酸化すると考えられている.さらに酸素発生の触媒中心であるマンガンクラスターが光を吸収することで直接破壊されることで光阻害が起こることも報告されている。電子供与側光阻害は,電子受容側光阻害に比べると弱い光で起こることがわかっている.しかし,生体内での光阻害についてはまだ不明な点が多く,種々の説が提唱されている.光失活によって損傷を受けたD1タンパク質は,膜結合性のプロテアーゼFtsH, DegP2などによって分解される.D1タンパク質の分解は,損傷を受けた複合体がグラナ領域からストロマ領域へ移動した後に数段階に分けられて行われると考えられている.

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Last-modified: 2015-03-27 (金) 13:50:14 (1722d)

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