16S rRNA の系統分類によって分けられた緑色硫黄細菌と繊維状非酸素発生型光合成細菌の慣用的総称.後者を緑色非硫黄細菌と呼ぶ場合がある.前者は硫黄化合物を電子供与体とする光独立栄養で,後者は光従属栄養または好気呼吸で生育する.光合成膜は紅色細菌のように発達せず,細胞膜の細胞質側にはクロロソームと呼ばれる光捕集能をもつ構造体を有する.クロロソーム中のバクテリオクロロフィルc,dあるいはeの吸収した光エネルギーは,細胞膜中のbase plate と呼ばれる部分に存在するバクテリオクロロフィルaを経て,反応中心のバクテリオクロロフィルa二量体に転移される.リン脂質のほかに他の光合成細菌には含まれていない糖脂質であるMGDG, DGDG, SQDGの糖脂質を含む.
反応中心の型は光化学系Ⅰ型(緑色硫黄細菌)とⅡ型(繊維状非酸素発生型光合成細菌)である.16S rRNA の系統分類では,古い年代に他の光合成細菌と分岐したとされているが,最近,緑色光合成細菌のバクテリオクロロフィル生合成経路がシアノバクテリアのそれに最も近縁であるとの説も提唱されている.なお,”緑色細菌”の名称は, 16S rRNA の系統分類では光合成細菌以外の細菌も含まれるので,緑色光合成細菌の別称としては適当でない.