Chloroflexi門に属する光合成細菌の総称.以前は「緑色糸状性細菌」とも呼ばれていた."filamentous"を「繊維状」と訳す方が,本細菌の形態的特徴により忠実である.この細菌は細胞が繊維状に長く連なり,滑走するように移動する.基本的には有機酸の存在で嫌気的に光従属栄養的に生育するが,硫化物の存在下で光独立栄養的に生育するものもある.リンゴ酸などの有機酸存在下で好気呼吸によっても生育できる.生育至適温度は50-70度程度で,高温環境を好み,温泉などに良く見つかる.この細菌の代表的な種であるChloroflexus aurantiacusは,16SrRNAによる系統学的解析から他の光合成細菌と比べて最も古くに分岐したと考えられている,光合成色素としては,反応中心のバクテリオクロロフィルaのほかに,少量のアンテナ色素としてのバクテリオクロロフィルa,大量のバクテリオクロロフィルc,および数種のカロテノイドを有する.バクテリオクロロフィル cは自己会合によりクロロソームを形成している.反応中心の型は光化学系Ⅱ型であるが,水の分解や酸素の発生は行わない.一方、Roseiflexus castenholziiはバクテリオクロロフィルcを合成せず,クロロソームを持たない.それゆえ菌体の色は緑色ではなく橙色に近い.同じく反応中心の型は光化学系Ⅱ型.また反応中心複合体には4ヘムのシトクロムサブユニットがあるが,Hサブユニットが存在しない。.