イカダモ [Scenedesmus]

 緑藻綱ヨコワミドロ目に属する1属.ふつう4または8細胞が1列に列んだ定数群体を形成しているが,2列に列んだものや,2,16,32細胞からなるもの,さらに単細胞性のものもいる.葉緑体は各細胞に1個,側膜性,一つながりのデンプン鞘で囲まれ貫入構造をもたないピレノイドが存在する.クロロフィルa, bルテインビオラキサンチンロロキサンチンβ-カロテンなどをもつ.また強光や窒素欠乏下では二次カロテノイドとしてアスタキサンチン(およびそのエステル)やカンタキサンチンを細胞質に大量に蓄積することがある.細胞壁はセルロース性,難分解性のアルジナン(スポロポレニン様物質)を含む.各細胞内に娘群体が形成され,無性生殖する.同形配偶が報告されている.淡水域の植物プランクトンとして極めて普遍的.

 比較的増殖が良いため実験生物や応用的研究材料として用いられている.Scenedesmus obliquus(現在はAcutodesmus obliquus)については葉緑体DNA,ミトコンドリアDNA塩基配列が報告されている.

 細胞壁構造の多様性などから属内に複数のグループが認識されていたが,さらに近年の分子系統学的研究に基づいてイカダモ属は解体され,狭義のScenedesmus, Acutodesmus, Pectinodesmus, Desmodesmusなど複数の属に分けられた.ただし系統的にこれらの属は比較的近縁であり同じ科に属する.また以前クロレラ属として扱われていた生物の中にはイカダモに近縁または含まれるものもいる(e.g., Chlorella fusca).


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:20