光化学系Ⅱ型反応中心[PSII-type reaction center]

 シアノバクテリアや植物の光化学系Ⅱ紅色細菌(および緑色糸状性細菌)の光合成反応中心から進化したと考えられており,反応中心に存在する電子伝達成分の組成や立体配置,反応中心ポリペプチドおよびその三次元構造は互いによく似ている.反応中心コアタンパク質は約40 kDa のポリペプチドのヘテロ二量体であり,光合成細菌ではL/Mサブユニット,シアノバクテリアや植物などの酸素発生型生物ではD1/D2サブユニットである.電子伝達成分と1分子のβ-カロテンを結合しており,アンテナ色素は存在しない.一次電子供与体(反応中心クロロフィル)の酸化還元電位は光化学系Ⅱと紅色細菌で異なるが,電子受容体の酸化還元電位はほぼ同じである. その特徴は,一次電子受容体として,中心金属Mgを欠いた(バクテリオ)クロロフィル分子(=(バクテリオ)フェオフィチン)が働いていること, 膜結合型のQAキノン電子受容体が最初の安定的な電子受容体として働き,非ヘム鉄を介して膜から解離しうるQBキノン電子受容体へ電子を渡していることである.そのため,この型の反応中心を光化学系Ⅱ型反応中心(Ⅱ型反応中心,キノン型反応中心,もしくはQAQB型反応中心)と呼ぶ.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:44