C4H6O5,分子量134.1.pKa=3.3および5.1のC4化合物 のジカルボン酸.クエン酸回路の中間体の一つで,ミトコンドリア内ではフマル酸からフマラーゼによって可逆的に合成される.またリンゴ酸はNAD-リンゴ酸デヒドロゲナーゼによってオキサロ酢酸に可逆的に分解される.細胞質でのリンゴ酸の合成・分解もこの酵素による.色素体内ではNADP-リンゴ酸デヒドロゲナーゼによりオキサロ酢酸からリンゴ酸が合成される.CAM植物では,夜間リンゴ酸が液胞内に蓄積し,昼間脱炭酸されてリンゴ酸が消費される.この脱炭酸過程はC4植物 にも存在し,NADP-リンゴ酸酵素およびNAD-リンゴ酸酵素によりリンゴ酸からピルビン酸を生成する.トウモロコシなどのNADP-ME型C4植物では,リンゴ酸は葉肉細胞から維管束鞘細胞へ輸送される.このようなC4植物 をリンゴ酸生成型C4植物とも呼ぶ.リンゴ酸はアポプラストにも存在しており,気孔の開閉の信号物質になるという報告がある.また,一般に液胞にも多く存在し、篩管液にも転流物質として存在する.発芽種子などの貯蔵脂肪を糖に変換する活性が高い組織では,グリオキシソームにあるグリオキシル酸回路で,アセチルCoAとグリオキシル酸からリンゴ酸シンターゼによってもリンゴ酸が合成される.